【Fashion】Virgil Ablohが語る『現代のCool』とは、何を指すのか。
おはこんばんちわ。
りちゃです。
よく見ているWebサイト、「FNMNL」にて興味深い記事がありました。
現在のファッション界で最も勢いと人気のあるブランドの一つ「OFF WHITE」の創設者であり、Nikeが誇る人気のスニーカーを再構築した10足を発表して現在進行系で話題を集めているのがVirgil Abloh(ヴァージル・アブロー)その人物。
Vogue主催のトークセッションにて、現代のファッションシーンを先頭に立って牽引する数少ない人物Virgil Ablohと、これまた現在話題沸騰中ので自身の名前を冠したブランドの創設者Heron Preston(ヘーロン・プレストン)が登場し、「現代においてのCool」とはなんなのかを説いてたとのこと。
トークセッションにおいて彼はCoolを下記のように論じています。
Virgil Abloh
「私の考えでは一番Coolなのは、やらなければならないことを全て無視して、特定の何かに純粋に取り組む時。『Cool』とは『自分らしく』ありながら『独特』すぎて人の目につくことだ」
VirgilがここでいうCoolとは、ファッションとしてのかっこよさや、表面的・ヴィジュアルでのかっこよさのCoolではないと僕は考えます。
また、「やらなければならないことを全て無視して、特定の何かに純粋に取り組む人」とあります。この「やらなければならないことを全て無視して」というフレーズ。一見すると腑に落ちないフレーズですが、これは
大多数の人が普通のこととしてやっていること、例えば身だしなみやエチケットであったり、恋愛・結婚だったり、人とのコミュニケーションだったり、人生を謳歌することであったり、人として普通にやること・やるべきことを指していると思います。
つまり彼の言う「Cool」とは、自分の生活・人生を投げ打って特定の事に情熱を注いでいる人物というのは、人からの評価やどう見られたいかという事を考えないので、常に自分に正直に自分らしくいるあまりに大多数の人たちと比べると独特で相対的に目立ってしまう事という意味なのかと。
そして、さらに言うなら独特=「Cool」ではないこと。自分の人生を懸けてやりたいことがありそれに情熱を注いでいる人であればあるほど説得力は増すということです。
結局そういう人というのは何かを成し遂げる人であり、そういった大人物のファッションであったり表面的なものが独特な結果、目立つことでCoolに感じてしまうのだと思います。
では具体的にどんな人達がVirgilの「Cool」に当てはまるのか。
いくつかあげてみました。
● スティーブ・ジョブズ
まず最初に浮かぶのがこのお方。世界で最も先進的で価値のある企業Apple。その創業者であるJobsのファッションが常にこの格好というのは、独特だと思います。お金ならいくらでもあるのに高い服を見繕うわけでもなく、この黒のタートルネックは50枚以上所有し、ジーパンは常にリーバイスの501にNew Balanceの991や992を着用していたとの事。
なぜこのスタイルを毎日するのかは諸説ありますが、有名なのが「一日の中で決断する回数を減らすため」です。
Appleのトップともなれば重要な製品に関する決断を決めたり、打ち合わせや、予算などあらゆる場面で決断しなければならない瞬間があります。その幾多の決断疲れをすこしでも減らすために、毎日決められた「制服」を着る事でストレスを和らげていたという話は有名です。
仕事が人生で、人生をかけて情熱を全て仕事に注いだJobsのスタイルは、大企業の創業者としてはあまりにも独特な出で立ちから目立ってしまった典型的なロールモデルだと思います。これが親戚のおじさんや商店街のおじさんのファッションなら、世界から注目される事は無かったでしょう。
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● スケーター
ストリートブランドながら、現在のファッション界で最も影響力のあるブランドと言っても過言ではない「Supreme」。もともとスケーターのためのブランドであったのは忘れてはいけません。
スケートボードというのはかなり危ないスポーツで、擦り傷や打撲・捻挫は日常茶飯事、骨折などによる日常生活に支障を来たす怪我を起こすこともよくあります。命がけは大げさでも、かなりの覚悟と度胸がないとやれないスポーツです。危険であればあるほど、難易度が高ければ高いほど、トリックを決めればクールとされます。
そして、そのファッションも独自の文化が反映されています。例えば、昨今流行しているシューレース(靴ひも)ベルト。これは元々スケーター達の中で、バックルのついたベルトだと転んだときに痛いので変わりにシューレースをベルト代わりにし始めたのがきっかけです。今ではスケートをしない人でもオシャレとしてやっているのをよくみかけます。
スケートボードという文化、スケーターというコミュニティの中で発達した独自の着こなしや習慣が、危険ながらも難易度の高いトリックを攻めるマインドと相まって、今やスケーターでは無い人たちからも「Cool」であると認められたのだと思います。
● メタラー
世界を騒がせるVetements(ヴェトモン)が、その独特なメタルの雰囲気を取り入れたコレクションを発表してから、今やファッション界でのトレンドの一つとしてメタル風のロゴやグラフィックが定着しています。
ヘビーメタル、スラッシュメタル、デスメタル、、、あげればきりがないほどに音楽ジャンルが派生しているのがこのメタル。メタルもまたメインストリームの音楽なんか毛ほども気にせずに独自の発展を遂げてきたコミュニティだと思います。
メタラーは見たらすぐにわかる独特のファッションをしています。全身真っ黒で、ロンゲ、ヒゲ、タトゥーが入っていたり、なんて書いてあるかわからないロゴの黒いTシャツをよく着ていたりとファッションもまた独特です。あまりにも愛しすぎてしまったメタラーは、その身なりやヴィジュアルから就ける仕事も限られ、メタルが生活の一部、人生の一部だというメタラーも少なくないと思います。
他にもいくつかあげられますが、Jobsにスケーター、メタラー。考えてみたら、全員はみ出しものであり、疎まれる存在です。
Jobsが社員から嫌われていたのは有名な話で、製品へのこだわりのあまりプロトタイプを壁に投げつけたり、罵詈雑言を社員に浴びせていたのは語りぐさです。
また、スケーターはスケートパークで滑る事もありますが、人が行き交う歩道や車が行き交う道路で人の迷惑を考えず勝手気ままに滑るスケータも少なくありません。はたからしたらとても危険で、スケートに興味の無い方からは一般的に嫌われている事も多いです。
メタラーに関しては、見た目が怖い・音楽も怖い・気持ち悪いという印象から疎まれている存在として認知されていると思います。
他人から疎まれ煙たがれ後ろ指さされようとも、自らのうちにある「好き」という大きな原動力で動く人たちの文化や習慣が、今の時代になって認められつつあるのかもしれません。まる。